vol.59 自ら手を差し伸べる

2020/02/01

osawa_p1

合掌
 2月に入りました。
 去る1月12日に、師家承継式を終え、第二世師家の「生きる力をサポートする」という思いを、第三世師家がさらに進め、これからの時代に即応した金剛禅運動を展開していくことを宣言され、開祖の「人づくりによる国づくり」という志が深いところで承継されていることを実感いたしました。
 さて、先月は「俯瞰する眼を持つ」ということをお話ししました。もう少し具体的に世の中を見渡しますと、インターネットやソーシャルメディアの発達により、これまでよりも短時間で多くの人とつながり、共感しあえる時代となっています。直接会って、心を通い合わせなくても「いいね」ボタンを押すだけでお互いの価値観を共有しあえる状況になりました。しかし、それは本当の意味で人の心を幸福で満たすものでしょうか。また、学校や職場の仲間、恋人や夫婦、お互いに気を許すことのできる間柄であっても、人間関係で悩み、大勢の中にいてさえも、分かり合うことができずに、疎外感や孤独感、不安が生じるときがあるのではないでしょうか。
 人は誰もが悩みを持ちます。将来の夢や希望を抱いていたのに、日々の生活に追われ自分が見えなくなるとき、自分がこの世に生きる意味が分からなくなるときもあります。しかし、その様子に気付いて声をかけてくれる人も世の中にはいます。自分の気持ちを分かってくれる人がいたら、それもネットの世界ではなく、目の前にいる人が理解してくれるとしたら。すぐに答えは出なくても、不安を和らげ、曇った心も少しは晴れるのではないでしょうか。
 困った人が来たら手を差し伸べる。今まではそれで良かったのかもしれません。しかしこれからは来る人を待つのではなく、こちらから手を差し伸べに行く。その行動力が必要です。修行により培った感性と行動力を今の社会に生かす。少林寺拳法を通じて自らも成長し、人と接し、人の喜びに幸せを感じる人を増やしたい。私は本気でそう思っております。
 今月の10日は開祖宗道臣生誕の日です。開祖はどんな人をつくろうとしたのか、私たちは何のために修行するのか。開祖から現師家に承継された志に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
 今月は仲間と共に、孤独な心が晴れるような金剛禅運動を実践していきましょう。
合掌再拝