vol.53 大阪三日市道院 道院長 古谷 貴紀

2017/07/01

日々、感動の毎日
大阪三日市道院

中導師、大拳士、六段、410期。1972年3月19日生まれ。45歳
出身地:大阪なにわ生まれ、河内育ち。
小学校6年生の時(1983年)に初代道院長の山田孝二道院長に師事。途中休眠期間を経て、高校3年生時に復帰、以降修行を継続。2008年に道院長代務として道院を引き継ぎ、2010年に認証。妻と息子3人(高校、中学、小学)の5人家族。長男は現在休眠中だが、息子は全員拳士。
政令指定都市職員として行政に従事。
現在、金剛禅大阪府教区役員、大阪府少林寺拳法連盟理事を兼任。

大阪三日市道院

―――道院長になろうと思ったきっかけは何でしょうか。
 小学生の時に友達に誘われるまま見学し、そのままの流れで入門しました。道院長には憧れはあるものの、正直、自分が道院長になるとは夢にも思っていませんでした。
  しかし、先代の道院長が諸般の事情から継続困難となり、周りを見渡すと引き継ぐなら自分しかいない状況となっていました。
 仕事との両立など不安もありましたが、今まで自分を育てていただいた道院を絶対に無くしたくないという思いと、私自身が、少林寺拳法の修練を通じて、明るく積極的な性格へと変われた経験から、私と同じように自信を付けたい、自分を変えたいと思う方の力になりたいとの思いから、道院長として一歩踏み出す決意をしました。
 道院長になって初めて気づくことや学ぶことも多く、やりがいのある道院長になって本当に良かったと思っています。

 
全体基本練習
 
―――道院での指導方針や指導法としての工夫を教えてください。
 「修行は継続してなんぼや(河内弁:修行は継続してこそ意義がある)」と常日頃から拳士に伝えています。
 修行を継続するためには、良き仲間とみんなが明るく元気に集える居心地の良い道場が必要です。
 それぞれの拳士にとって大切な居場所となるような道院でありたいと願っています。
 大阪三日市道院は、男女問わず拳士同士の仲が良く、中学生では、学校のクラブ活動終了後、同じクラブの拳士全員が一緒に道場まで直行したりしています。
 また、専有道場を確保してからは、修練後に楽しく井戸端談義に花を咲かせることもしばしば。学校のことや進路、友人関係など色々と話をしてくれるのが、私にとっても楽しく有意義な時間となっています。

―――道院長になって出会った感動のエピソードをお聞かせください。
 下記は、高校生の女性拳士の新春法会門信徒代表挨拶の一部です。
 「努力することが嫌いで、根気のなかった私が、少林寺拳法の修行を永続していることに自分でも驚いています。私が永続できている最大の理由は、親身に指導してくださる道院長をはじめ、一緒に修行をしてくれる仲間やかわいい後輩拳士など、多くの人々と触れ合い、そして見守られているということを実感できる環境にあるからだと思います。道場には、時には叱り、時にはほめ、そして慰め、応援し勇気づけてくれる先生や仲間がいます。大阪三日市道院は、楽しく安心して素直な自分でいられる私の大事な居場所です。指導してくださる先生方に感謝し、道院の一員であることを誇りに思います。昨今も、残忍な事件や、多くの自殺や引きこもり等が社会問題となっています。道院のように暖かく見守ってくれる自分の居場所があれば、このような問題も改善されると思います。後輩拳士達にも、少林寺拳法を、そして自分の道院を好きになってもらい、自分の大事な居場所としてもらえるよう努めたいと思います。」
 この門信徒挨拶を聞いている時、涙をこらえるのに大変でした。こんな風に思ってくれているのだと、道院長としてこれ以上嬉しいことはありません。


合宿中のBBQ

―――道院長として今後挑戦したいことや夢などを語ってください。
 道院長は末永く拳士の成長を見守り、ともに成長していけるという関係にあります。保護者の次に末永く関係を築いていける存在ではないかと思っています。
 状況によっては保護者以上に顔を突っ込む場合もあるかもしれませんが、「近所のおせっかいなオッチャン以上保護者未満」という丁度良い関係が道院長と拳士の関係ではないでしょうか。
 何かあればいつでも拳士を支えられる、いつまでも元気な道院長を目指して頑張りますが、そのうち私の方が拳士に支えられ、見守られるようになればそれは本望かもしれません。
 子離れできない親が増えていますが、私の場合は、拳士の成長が楽しみ、かつ気がかりなあまり「拳士離れできない道院長」になりそうなのが心配ですね。

―――仕事や家庭についてどのように両立させているかお聞かせください。
 何より仕事との両立が課題です。昨年度から非常に残業の多い部署に異動となり、特に忙しい2・3月をどう乗り切ろうか本当に悩みました。すると、仕事の関係でこれまで遠距離の他市に住んでいた副道院長が、道場の近くに新築し移ることとなり、計ったかのように丁度2月に転居できることとなりました。そのうえ、高校生拳士達が「私達がみんなで指導に当たるので、道院は任せてください。その間、道院長は仕事頑張って。」との心強い申し出が。不思議とうまくいくものです。
 この間、みんなの協力のおかげで乗り切ることができ、高校生拳士達の指導力が大幅にアップするという嬉しいおまけつきでした。
 家族に関しては、妻には陰ながら様々な協力と負担をしてくれていることに、本当に感謝しています。息子達も拳士ですが、道院長として何とか父親の威厳と役割を保てているのが現状です。家での父親としてはだらしないので(反省)。
 日常生活においては、自分の特性や置かれた環境を活かして社会に役立てることがないか、これからの人生の中で考えていきたいと思います。今は、仕事と子育てと金剛禅運動に全力投球です。

―――最後に将来、道院長を目指す全国の拳士へ、一言エールをお願いします。
 もっとこう指導すればよかったと反省することもありますが、日々の修練が、感動の毎日です。地元小学校の卒業式では、各拳士の成長ぶりに感無量です。他にも小・中学校の運動会では、全学年の拳士を休む暇なく応援できるという特典付です。おかげで毎年喉を傷めています。
 道院長冥利に尽きると感じることは山ほどあります。道院長でないと経験できないことも山ほどあります。私も何度か困難に直面しましたが、思わぬ形であっけなく解決したり、周りの人が助けてくれたり、不思議とうまく回るものです。まさに「この道を得れば以って進むべく」です。正しい道を進んでいれば、自ずとうまくいくと信じて一歩踏み出してみてください。きっと新しい世界があなたを待っています。


達磨際               少年部集合写真