vol.58 綾瀬深谷道院 道院長 増井 友哉

2018/05/01

少林寺拳法へ恩返し
綾瀬深谷道院

道院名:綾瀬深谷道院
道院長名:増井 友哉(ますい ゆうや)
中導師、大拳士、五段 482期
1982年10月18日生まれ 35歳
出身地:神奈川県
小学1年生より入門
藤沢翔陵高校 少林寺拳法部、日本体育大学 少林寺拳法部を経て、現道院へ。
2013年8月綾瀬深谷道院長となる。

綾瀬深谷道院

―――道院長になろうと思ったきっかけは何でしょうか
小学1年生より始めた少林寺拳法。高校・大学と少林寺拳法部に入部し、いろいろな行事・大会に参加させていただきました。技術面精神面ともに大きくさせてもらい道院に戻りましたが、大学卒業後は仕事が忙しく道院に行くのも少年部の拳士が帰ってからの時間が多く、大人たちだけの修練が多かったです。先代の林隆司道院長から、「将来は道院を開きなさい」と指導されていたことが常に心の奥にありました。30歳手前、林道院長より、「そろそろ引き継ぎを考えないとな」という話を受け、心機一転、道院運営に支障のない仕事へ転職しました。道院運営の話を幹部に相談する中で、その転職先は道院関係者の紹介で決まりました。今までも感じていましたが、人間関係や人との広がり、私自身の立場など、全てが少林寺拳法によって作られているのだと改めて感じました。
道院長になろうと思ったきっかけと言うよりは、私が道院長と言う立場に立たせてもらう順番になり、少林寺拳法へ恩返しする時間を頂いたのだと感じています。

―――その当時の苦労や印象に残っているエピソードを教えてください
専有道場は拳士の保護者が、先代の林道院長の指導に感銘を受け、運送業を営んでいる会社敷地内の倉庫の一画を専有道場として無償で造ってくれました。感銘を受けたからといって、ここまでして頂けるとは感謝以外何もないです。だからこそ、私は道院長としてやっていくことで恩返しをしたいと思っています。

「来年正式に道院長の引き継ぎをする」と決めた年は、神奈川県が全国大会の会場でした。道院長になるので、少林寺拳法連盟主催の大会はここで引退する考えでした。県大会に出場し、全国大会への出場権を頂き、最後の組演武を林隆司道院長に見てもらいました。大会後、林道院長に初めて褒めてもらいました。その後、林道院長は癌が見つかり入院生活が続きました。
道院長交代の話が進み、手続きもままならない中で、林道院長は翌年4月に亡くなられました。引き継ぐ事は決まっており、気持ちの準備は出来ていました。専有道場もありましたし交代に対する苦労は無かったかなと思います。唯一、道院長としての自分を林道院長に見せられなかったのが心残りです。

故林隆司道院長のお墓参り

―――道院での指導方針や、指導法としての工夫を教えてください
道院の指導方針は、
一、挨拶
道場に入る時は、ドアを開けて「失礼します!」
入ってきて、「こんばんは!」「おはようございます!」おもいっきり大きな声で!
道衣に着替えたら、全ての拳士に一人ずつ挨拶!
二、言葉遣い
期別、年が上の者へは敬語。
年が下であろうが、級が上ならば先輩。
小学生でも道衣を着たら、メリハリを持って!
三、体力
まずは基礎体力作り。
腕立て、拳立て、指立て、手押し車、体幹トレーニングなど何でもやります。少林寺拳法以外の技術も多々取り入れ幅広く、身体、脳、共に動かせます。

 基本の技術面では、各拳士が自分自身で考えるように意識させているつもりです。当たり前を当たり前にせず、意識を持って行動させます。
 教わることも大事ですが、なるべく各自他の拳士へ教える時間を作るようにしています。教えることで自分が何を意識しているのか、それが本当にできているのかがわかりますし、教わることより人に教えることの方が、成長は早いと思います。
 法話は、先輩幹部が少年拳士を集めてお話をしたり、技術の合間や、修練への取り組み方をみてその都度、拳士が取っていた行動に絡めて話をしたりするようにしています。
今はまだ、地域のお祭りや行事で、少林寺拳法を行う場がありませんが、子ども達の修練や日頃の成果をPRできる場をこれから作っていきたいと考えています。

日々の修練の様子

―――道院長になってから気づいたことはありますか
少年部の拳士達の成長に、日々感心させられます。毎日修練している訳ではないので、2日空いた次の練習で、できなかったことができていたりすると、”何で?”と思うくらい、驚くことがあったりします。聞いてみると、「家で練習しました!」と返事が返ってくると、すごいなぁと思いますね。
あと、うちの道院では、中学生までは”あゆみ”通信簿を学期毎に見せてもらうことにしています。それは、学校でどのような活動をしているのか、道院では見られない一面を確認できるからです。学校では、何か委員長をやっていたり、校内での活動のことを知ると、意外な一面も知ることができ、面白くも感じます。それも道院長をやらせてもらっていないと、経験できないことなのかなと感じています。

―――個人として(一社会人として)頑張っていることや、目指していることがあればお聞かせください
6年前に道院を引き継ぐ決心をし、サービス業から時間に融通が利く仕事へ転職しました。林隆司道院長が亡くなり、自分が綾瀬深谷道院を引き継いでから、道院運営も家族・道院幹部の助けもあり、ようやく流れができてきました。
そこで家庭・道院の将来を考え、去年再度サービス業へ転職をし、仕事の独立に向けて歩み出しました。

―――仕事や私生活(家庭、子育て)についてどの様に両立させているか、その秘訣をお聞かせください
私は4人家族で、今年3歳になる娘と1歳の息子がいます。今の職は、午前中は比較的時間が空いているので、子どもたちと遊ぶ時間に充てています。前職の時より触れ合う時間は減ってしまいましたが、逆に、元気な時間に遊べているので、コミュニケーションは以前より取れているのかなと感じています。
帰りが夜遅いため、妻への負担が大きく、本当に助けられています。仕事休みは、道院や少林寺拳法の行事が大半で、その日の半日は潰れてしまいます。それでも、空いた時間や1日フリーの日はみんなでできることを精一杯やりたいと思っています。あとは、私が子守をして、妻が羽を伸ばせる時間を作るなど、妻の点数稼ぎには余念がありません。

―――最後に、将来、道院長を目指す全国の拳士へ、ひと言エールをお願いします
私は、新規道院の設立ではなく、専有道場があっての引継ぎなので、設立のためのアドバイスはできませんが、道院長として言えることは、とてもやりがいのある立場であるということです。少林寺拳法を教える喜び。少林寺拳法を通して少年部・子どもたちの成長を手助けできること。教える立場でありながら、門信徒から学ぶことも多く、共に成長できるのも道院長としてのやり甲斐の一つだと思います。
「人として完璧だから道院長になるのではなく、道院の拳士達と共に成長していくことが道院長」なのだと感じます。
あなたの周りにも諸先生、先輩拳士、同年代の拳士など、多くの仲間がいるはずです。仲間は必ずサポートしてくれると思いますので、気負いすることなく、道院長を目指してほしいと思います。

新春法会

入門式